改札口で
A子は、身分証明書に貼る写真を定期券の上にはさんでおきました。
これは忘れないようにということだったのですが、うっかり駅の改札口でそのまま出してしまい、駅員に呼び止められました。
ハッと思い、あわてて写真を取り除き示したところ、駅員が「すみませんでした。失礼しました。」とていねいに謝ったということです。
A子は、「定期の日付が見えないように出したのは私ですから、私が謝らなければならなかったのですが…… しかし、その日は一日、すがすがしい気分で過ごすことが出来ました。」と言いました。
もし駅員が「ダメじゃないか、そんなものはさんで」と高圧的に言ったら、A子は「そんなの勝手でしょ!」と言ったかもしれません。
さて、私は最近これとまったく逆の出来事に出会いました。
広島でワンマンバスに乗っている時、おばあさんが乗ってきて、両替機に五百円玉らしいものを入れましたが、何も出てきません。
運転手は、機械をドンドンたたきながら、「本当に入れたの?五百円玉が曲がっていたんじゃないの?」と言うのです。
おばあさんはオロオロするばかり………
五百円玉が曲がっていようといまいが、入れて出てこないのなら、一言「すみませんね」と言えば、車内のみんなの気分は、ずいぶん違ったし、おばあさんもあわてずにすんだと思います。
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